鉄道世界旅行 Steam
「くしろ圏広域観光推進コンソーシアム」共同企画・
くしろ海底力(そこぢから)モニター見学会&体験会
「冬のS L と石炭のマチ・釧路」
〜釧路の石炭産業・鉄道名所を体験する3日間〜 ツアー
釧路といえば・・・
便利なフリー切符や夜行列車が無くなって気付けば2003年以来撮影に行っていないSL冬の湿原号、
平日に不定期で石炭列車が運転される太平洋石炭販売輸送臨港線、
そして、ナローゲージの坑外軌道が現役の釧路コールマイン
これらを巡る、JR旅行センター釧路支店が募集する札幌発3日間のツアーに参加しました。
釧路商工会議所・釧路市・観光協会などで構成する「くしろ圏広域観光推進コンソーシアム」の主催で
産業観光の視点から普段の現場の姿をみる事を基本とし、通常一般の立ち入りを一切許可しない場所の見学が組み込まれ、
地元鉄道ファンなどで構成された「釧路臨港鉄道の会」の全面協力により、
鉄道ファンによる鉄道ファンの為のツアーという感じで至れり尽くせりの充実したツアーでした。
行程表
鉄道中心の行程で、募集パンフレットの行程表下には
「石炭列車の運転が予想される場合は沿線撮影を優先し見学行程や日程を変更する場合があります。」という注釈がある程
幸い1日目、2日目とも1往復づつ石炭列車の運転があり、このような行程となりました。
1日目 |
札幌-釧路 海底力モニター見学会(鉄道編)
=春採湖畔〔石炭列車撮影〕【1A】=太平洋石炭販売輸送(株)知人貯炭場高架桟橋【1B】=千代の浦マリンパーク〔石炭列車撮影〕【1C】
=釧路川鉄橋〔SL湿原号撮影〕【1D】=釧路運輸車両所【1E】=釧路東急インホテル泊 |
2日目 |
海底力モニター見学会(基礎講座石炭編)
釧路東急インホテル=興津〔敷地外の公園から坑外軌道撮影〕【2A】=太平洋石炭販売輸送(株)春採駅【2B】=
(株)釧路製作所〔8722号蒸気機関車撮影〕【2C】=釧路市立博物館〔昼食&特別展示見学〕【2D】=
太平洋石炭販売輸送(株)春採駅【2E】=春採湖俯瞰〔石炭列車撮影〕【2F】=
釧路コールマイン〔抗外軌道撮影など〕【2G】=炭鉱展示館【2H】=釧路石炭販売発送場【2I】=米町踏切【2J】=釧路東急インホテル泊 |
3日目 |
フリータイム
{釧路-塘路-細岡〔SL湿原号撮影〕【3A】-茅沼〔SL湿原号撮影〕【3B】・・・茅沼憩いの家=茅沼-釧路}
釧路-札幌
|
これまで、中国の蒸機撮影に訪れた地域沿線には大抵炭鉱があったのに、あまり気にしていなかったけれど、
各地やバス車内でのわかりやすい解説、そして国内唯一の活きた現場の空気を感じて炭鉱施設に深い興味が沸いきました。
ツアー行程の順番に関係無く、石炭が流れてゆく場所の順で写真を紹介してゆきます。
※写真は「海底力モニター体験会」参加時に撮影したものです。
JR釧路運輸車両所および釧路コールマイン構内は
一般の立ち入りを一切許可していません
訪問や電話の問い合わせの無いようお願いします。
旧太平洋炭礦 炭鉱展示館の坑内模型、海の下の断面を現わしている。
太平洋炭礦の時は最高8km沖の海抜-750mまで堀り進み、
現場に着くまで片道1時間半を要していた
という話を釧路コールマインで聞いた。
【2H】
コンテニアスマイナーという機械で前方に掘進していく。【2H】
展示館建物の隣に置かれているコンテニアスマイナー
刃の回転に対して円周方向で掘り進む。【2H】
炭鉱展示館地下の模擬構造にもコンテニアスマイナーがあり、掘進する様子が再現されている。
削った石炭やズリはカッター下のちりとり形の物でかき集め機械の後方へ。【2H】
掘りながら進んでいくコンテニアスマイナーとベルトコンベアの間を結び石炭などを運ぶシャトルカー。【2H】
本格的な採掘はSD採炭機という装置で坑道の壁を削る様な形で行われる。【2H】
SD採炭機はコの字形で坑道を支え安全を確保する自走枠「S」と
その前を平行に移動するドラムカッター「D」の組み合わせで
フライスの様に面で削って採炭される。
一面削ると自走枠の上部を下げ、ドラムカッタ装置側と結ばれているシリンダを
縮める事で自走枠が前方に引き寄せられ、
次に突っ張らせた自走枠をベースにドラムカッター側を前方に押し出し次の面を削る。
坑内機械のシリンダ類は油圧でなく水圧が用いられている。【2H】
展示ホールにあった模型の例では削る面の長さ230mで自走枠184セット。
尚、途中で自走枠の数を増減させる事は出来ないので
正確な長方形で囲った所を採掘してゆく必要があるとの事。
採掘された石炭はコンベアで運び出される。【2H】
坑内で資材などを運ぶ電気機関車
架線が低くボンネット上にパンタグラフが載っている。【2H】
軌間610mmで直流500V、軸配置BBで最高速度は18km/h。【2H】
資材や人の運搬が行われる釧路コールマイン坑連卸の坑口。【2G】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
鉱員は建物内のこの通路を通って人車に乗り込み坑内へ入る。
階段と天井の隙間に人車が見えた。【2G】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
外周より釧路コールマイン構内を望む、
写真中央が坑口の屋根。【2A】
撮影していた小公園の高台は
2011年に建物の建設の為に崩されたとの事で、
敷地外よりナローを撮影する事は困難になった。
ケーブルカーの様なウインチ駆動によって
人車や材料鉱車の出し入れが行われる様子が敷地外から見えた。【2A】
連卸口の先はジェットコースターみたいな高架橋の引込み線があり、
坑外軌道と接続され入換えが行なわれる。【2A】
坑外軌道では電気機関車が活躍、
敷地外から望遠レンズで狙うと線路の曲がりが強調される。
線路幅は610mm【2A】
トロリーと呼ばれていたパンタグラフを装備した電気機関車。【2G】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
ダンプカーや大型バスも通れる架線の高さなので
タワー状の櫓の上にパンタグラフが載っている。【2G】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
架線が無いところも走行できるバッテリーロコ。【2G】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
見学時、トロリー、バッテリカーとも数十メートルの区間を2・3往復
デモンストレーション走行していただいて、走行写真を撮影する事も出来た。【2G】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
オープンデッキの運転台、ブレーキは貨車の様な手ブレーキ。
ボンネットカバーを開けてバッテリまで見せていただいた。【2G】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
バッテリーロコには色々なバリエーションがある様で
坑内で活躍している車両もあるとの事。【2G】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
石炭は連卸とは別の春採斜坑にあるコンベアで選炭工場に運ばれ、
精製・選別され商品となった石炭が
太平洋石炭販売輸送(株)の春採駅で石炭貨車に積み込まれる。【2B】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
1958年製、釧路臨港鉄道最初のディーゼル機関車D101
車籍は無く錆付いているが原形をとどめている。
後ろに連結されているのは廃車となったD201の台枠。【2B】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
ロッド式で現役のD401は1964年製。【2B】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
シャトルトレインの知人側に就いていた1977年製D700型。【2E】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
シャトルトレインの春採側に就いていたのは
1966年に雄別鉄道YD1301として誕生し釧路開発埠頭、太平洋石炭販売輸送
と移籍しているD801正面に入っているV字の白帯が3本になっているのは
この機関車が3社に渡り活躍している事を表わしている。【2B】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
アメリカンスタイルのDE601は1970年製、
型式のEは車軸ではなく電気式ディーゼル機関車を表わしている。
春採駅にはシャトルトレインの両側とも順光で撮影できるよう
午前・午後と2回訪問というとても有難い行程であった。【2E】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
シャトルトレイン牽引時前側となる運転室側、
大きめなスノープラウには雪を食るように口を開けた鮫の顔
”シャーク”が描かれている。【2E】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
エンジン側の前面は編成時は貨車側となるのでスノープラウが付けられていない。
こちらが一位側であるらしい。【2B】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
貨車とつなぐ側には排出扉自動開閉装置や用の自動解結装置の為の電気信号や、
ブレーキや排出扉を作動させるエア配管を接続する機能を持つ連結器が装備されている。【2B】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
運転台はDD13シリーズなどと同様線路方向に設けられ、
1箇所のみでシャトルトレインで運転する時の進行方向に対し右側になる。
計器パネルの上には、貨車の連結開放や排出扉の開閉を遠隔操作する操作盤がある。【2B】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
石炭排出する側扉の開閉実演も行なっていただいた。
写真後ろ2両が閉じた状態で、排出扉は壁と平行になるまで開く。【2B】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
DE601やD801と同じくスカイブルー塗装のモーターカー。【2E】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
連結器はドローバー用のピンのみで貨車などとは連結できない。【2B】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
もう1台のモーターカーはボンネット側に大型のV字プラウを装着した除雪車。【2E】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
反対側は自動連結器を装備、
扁平な車体はハマーを連想させる。【2B】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
春採駅にある信号所、
このパネルで高架桟橋のある知人駅まで全線の信号やポイントを集中制御している。【2B】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
編成両端に機関車を連結したプッシュプル編成とする事で
入換作業などを省力化したシャトルトレイン方式で運転される石炭列車。【2F】
春採湖と釧路市立博物館を背景にシャトルトレインを俯瞰。【2F】
石炭貨車セキ6000形は2両1組の連接車、
12組24両を機関車で挟んで1編成となっている。【2F】
凍った上に積雪した春採湖の沿って走る。【1A】
知人貯炭場には石炭をおろす2本の高架桟橋があり、
列車は自動開放により半分づつに分けられ効率的に石炭が下ろされる。【1B】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
以前は半編成分一気に下ろしていたらしいが近年は石炭をまとめやすい様
2ユニット4両づつ排出扉が開けられ3回に分け石炭が下ろされるとの事。【1B】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
貯炭場に下ろされた石炭は埠頭までコンベアに乗って流される。【1B】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
シップローダーという装置で石炭専用船に積み込まれる。
後方から先に積み込まれているのだろうか
バスから見えた専用船は後方が沈み込んでいた。【1B】
石炭を下ろすところを別の角度から見たくて
2011年12月末に単独で再訪問。
12月30日朝、石炭の山を均すブルドーザーが動いていた。
DE601先頭で石炭満載の朝イチの列車がやってきた。
2本の桟橋に分かれるポイントの手前で走行開放。
まず、前寄りの編成が桟橋に入り後ろの方から石炭を下ろす。
後ろの編成は手前の線橋から入り、前の貨車から石炭を下ろし始める。
奥にある桟橋の編成は後方に移動。
同じ場所に石炭を下ろしている。
2本の桟橋で次々と作業が行われる。
石炭貨車の裾を見ると先に下ろして空になった車両の側扉もまだ開いている。
石炭を全て下ろし終えるとDE601の編成はポイント手前で待機し、
D701先頭の編成が先に出る。
再び連結して貨車24両のプッシュプル編成となり春取駅へと戻ってゆく。
着いてから出て行くまで一連の作業で8分少々という早業だった。
次は約2時間後と思い、撮影場所を決めた後、
米町ふるさと館で温まってから戻ったら・・・ 石炭が増えていた。
満載にしないで折り返す場合は運転時刻が早まる様で
この年最後の石炭列車を見逃してしまった。
その代わり偶然に、石炭輸送船の入港を見る事が出来た。
手前に見えるのは貯炭場から埠頭まで
石炭を運ぶベルトコンベア。
タグボートのエスコートを受け川洋丸(SENYO MARU)の着岸。
千代ノ浦海岸沿いを走る空車、
石炭を下ろした列車は再び連結され1本のプッシュプル編成として春採駅に回送される。
臨港線は春採湖岸、太平洋沿岸と風光明媚な所ばかり通っている。【1C】
この日は曇っていたが
釧路の夕陽スポットになっているらしい米町踏切。【2J】
釧路と雄別炭山を結んだ雄別鉄道で活躍した8700形8722号
が保存されている(株)釧路製作所本社工場を訪問。【2C】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
風格感じる正面、製造当初は東北本線を走っていた。【2C】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
軸配置2C、連結器の両脇にはバッファの跡らしい切り欠きが残っている。
【2C】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
3軸のテンダー、
昨年、釧路臨港鉄道の会によるボランティア活動でお色直しが行なわれ車体はピカピカ、
橋梁などを製作している会社だけあって、提供された塗料の防錆性は素晴らしい。【2C】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
一般向けに石炭を発送する釧路石炭販売発送場
オーダーのあった石炭をコンベアに載せてホッパを介しトラックに積み込まれる。
事務所内の暖房が石炭ストーブだったのが石炭販売所らしい。【2I】
釧路で石炭と言えば、もう一つは今年で10周年を迎えるC11牽引のSL冬の湿原号。
1日目にスケジュールに若干の余裕が出来、
バスの駐車場所を手配などのセッティングを急遽行なっていただき、
予定されていなかった復路のSL冬の湿原号を撮影する事が出来た。【1D】
冬の湿原号のC11を受け持つJR北海道釧路運輸車両所の見学。【2E】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
先程到着したばかりでまだ雪が付いているC11 207。【2E】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
箱型の新しそうな建物だが
蒸気機関車からの煙を庫外に逃がす設備がある。【2E】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
点検が重要な足回りにはスポットライトが当てられる。
隣のもう一線が空けられていてサイドもゆったりと撮影できた。【2E】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
207号と背中合わせになっていた171号
こちらもヘッドマークが付き煙突から出る煙が見え予備機体制は万端。
保存蒸機でも複数のカマが休むクラは数少ない。【2E】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
石炭の積み込みも庫内で行なえる様になっている。【2E】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
奥にあるターンテーブルまで見学。【2E】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
更に回転もさせていただきました。
運輸車両所には単線型ラッセルヘッドのDE15や
バーベキュー車両、スタンディングトレインなどの姿があった。【2E】
《海底力モニター体験会参加時に撮影》
3日目はフリータイムで、私は新夢が丘にチャレンジ。
朝は晴れていたが登った頃から吹雪き始め、
一時は線路や川が何処か分からない程視界が悪かったが、
列車通過時にはそれなりに回復。
その後数分で晴れ渡った。【3A】
釧路川沿いの直線は白煙。【3A】
冬の湿原号はニセコ号や函館・大沼号とは違って
後ろにディーゼル機関車が付かないので俯瞰がとても絵になる。【3A】
釧路行きは茅沼で撮影、
丹頂鶴は到着に合わせて機関車から離れていく。【3B】
しばらく機関車が見えなくなる程の煙を上げて発車。
鶴が離れていく訳がわかった。【3B】
1日目夜に開かれた交流会ではスペシャルゲストとして
蒸機撮影もされる元名物機関士を招かれ講演が行なわれました。
2日目にも居酒屋で飲み鉄の会が催され、ツアー参加者や、臨港鉄道の会、
更に飛び入りゲストなど各地の鉄道好きが集い鉄話で盛り上がって、
これも楽しい時間でした。
「臨港鉄道の会」の方々には釧路駅での送迎から、
バス車内でのガイド解説、見学地での誘導、飲み会のセッティングなど
行程中ずっとお世話になり、
見学内容や、足場となる路面状態の確認、
撮影地の光線状態などで、きめ細かな配慮を感じました。
感謝申し上げますと共に
今後も、この様な企画が続けられる事を願います。
2012年2月にも
”冬のSLと石炭のマチ・釧路”
SL冬の湿原号と釧路の石炭産業・鉄道名所を体験する3日間
というタイトルでツアーが開催されます。
SLを載せて転車台回転を行ったり、
SL回送列車を撮影後、その列車に乗車したり、
ちょうどC11重連運転日に掛かり、
その撮影も行程に組み込まれるなど
年々グレードアップしています。
詳しくは臨港鉄道の会ホームページへ
写真の無断転載を禁止します。