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2024-4 ヨーロッパ

 Nightjet
ナイトジェット新型クシェット

NJ40420列車 インスブルック発-ハンブルク行き
Innsbruck HBF20:44発-Hamburg Altona9:24着



チケットはWeb購入、この列車はドイツ鉄道DBのサイトで列車検索しても購入に進む際にオーストリア鉄道ÖBBのサイトにリンクする様になっていた。
予約は3か月前からと思っていて、それより数日前に違う日で試しに検索してみたところ、既に予約できる様になっていた。
キャンセル変更不可の割引料金で乗車券・寝台料金込2人で159.8EUR(約26,500円)。
尚、正規料金は座席利用で1人89.9EUR、寝台料金はクシェットで25~100EUR以上と日によって大きく変動があった。
クシエット予約はMiniCabinが基本で、上下段や2人予約時の窓接続の希望は追加料金なしで可能だった。
チケットにはHamburg Altona9:05着と書かれているが、後で到着時間変更9:24のメールが届いていた。



新型客車は7両固定編成で、それを機関車が牽引、片側は運転台付の制御客車になっているが、まだ運転台の認証が下りてないとの事で制御客車側が前であっても、その前に機関車が連結されていた。



インスブルク駅のホームに表示されていた乗車位置兼編成表。
上段が乗車するNightjetで後にアムステルダム行NJ420列車の在来型5両編成が併結された12両編成になっていた。



先頭はÖBB1116形電気機関車、軸配置BB、最高速度230km/hで2電源対応。



ハンブルク到着時もÖBBの機関車で同じかと思ったが1.5kVのみの1016形だった。



乗車した列車はÖBB標準塗装だったが、青色のNightjet塗装の機関車もあり、前々日インスブルクに着く時に乗って来た新型Railjetを牽引していたのがNightjet塗装だった。



機関車の後に連結されていたのは、制御客車である座席車407号車Bfmpz。



今回、新型Nightjetの制御客車は連結されていない状態の写真は撮れなかったが、今年デビューした新型Railjetの制御客車と同じ顔で、新型電気機関車1293形と同じデザインになっている。
座席車が赤で夜行列車が青の色違いといえば、日本の485系と583系が連想される。



運転室の後、台車から外れた部分1ヶ所に乗降扉があり、戸窓に座席マークが入っている。



反対側。
ハンブルク到着時には方向が変わり、前側にウィーン発ハンブルク行きNJ490の新型編成が連結されていて、写真はNJ490の座席車417号車である。



座席車は2+2配列リクライニングシートで方向固定、向かい合わせ席の間には拡張も可能な大型固定デーブルが設置されている。



運転台から離れた後方半分程は向かい合わせ席が並び、座席部の床が1段高く、座席背中合わせ間に荷物スペースが設けられ、窓上の荷棚が無い。



車端部にも荷物スペースがあり、ワイヤーロック設備が付いている。



もう半分は、その中央付近にある向かい合わせ席の後が同じ向きとなった、集団見合い配置となっている。



こちらは床面が上がってなく、窓上に荷棚がある。



後に続く2人掛けの座席、通路側の肘掛も上げる事ができる。



前席背面に折畳みテーブル、マガジンラック、フットレスト、ハンガーピンが備わっている。



折畳みテーブルは2段になっていて、上段は携帯端末を立てると見やすい高さにあって、内側にUSB電源がある他、説明書きは無いが隅に非接触充電出来そうなエリアもある。



背面は一面となっているが背もたれは分かれていてリクライニングできるシェルフラット構造で、枕部分の両サイドが張り出していて、隣り合ってない側に読書灯が内蔵されている。



手前がフルにリクライニングした状態、可変角度は昼行列車と同程度と思われる。
座席番号は枕部張り出しの外側にもあるが、予約表示用LEDディスプレイとともに窓上にも書かれている。



こちらは片側にだけ荷物置き場がありワイヤーロックも備えられている。



デッキには案内表示用ディスプレイ、屑物入れ、消火器が備えられ、それより前方両側に化粧室があり、突き当りは運転室となる。



2両目406号車ABbmpvz、バリアフリー対応で編成唯一低床構造の客車で、台車間の低床部に乗降扉がある。



扉の窓には座席のイラストがあり、車体には"seat car"と書かれているが、1室だけバリアフリー対応の寝台個室もあり、こちら側がコンパートメント側となる。



前側(制御客車寄り)の台車上は折畳み椅子で自転車やスキーの固定具が備えられたスペース。



自転車固定具はアーム状。



ここの片隅に車掌室があった。



低床部から自転車置き場のあるスペースまで上がる階段の脇に自転車を通す為のスロープ溝があった。



デッキの低床側にバリアフリー対応の化粧室がある。



その奥は片通路で、一カ所だけ両開きの大きな扉があり、バリアフリー対応の寝台個室となっている。



後ろ半分程は座席車で、低床部、台車上部とも2+2配列の座席が並ぶ。



後の方は荷物棚が並んでいる床上を含め3段式で上の棚にはカードキーと暗証番号で使うワイヤーロックが備わっている。



その後ろ3両、405、404、403号車は簡易寝台クシェットBcmz。
こちら側が通路側で片側につき1扉。



戸窓にはベットのイラストがあり、車体には"couchette"と書かれている。


窓配置に特徴がある、こちら側が寝台・個室側。
乗降扉の横が車掌室の窓で、その隣3つの窓が4人用コンパートメント。


2段になった窓はミニキャビンのもので、2つ続きで隣りあった間が黒塗りされているが、14x2段の窓がある。
デッキを片側にして化粧室や業務用室を工夫してスペースを稼いでいるのもあるが、1両の定員は14x2+3x4=40名で、B寝台的な従来型のクシェットで2段ベットにした時の定員36名より多くなっている。


通路側の窓割りは普通であるが、その向こうの眺めは斬新。


カプセルホテル的な簡易寝台Mini Cabin。
全てのシャッタが閉じられた状態が通常。


それでは戸惑う乗客がいるのだろうか、入線時は所々のシャッタが開いていた。
しかし利用中は手を離すと閉まってゆく作用が働く感じで、出発後しばらく経った後は全て閉まっていた。


Mini Cabinは上下2段で、スペースや設備は同等となっている。


寝台間の少し奥まった所がロッカーとなっていて、下の方は上段に登る為のステップがロッカーの扉間から張り出している。


MiniCabinのシャッタとロッカーはカードキーをこの部分にタッチする事で一時的に解錠する。


ロッカーは荷物用と靴箱各1カ所割り当てられ寝台と同じ番号が書かれていて、開く方向も割り当てに配慮されている。荷物ロッカーは国際線航空機内持ち込み可能サイズのバックがギリギリ入り、靴箱は横幅が狭く奥行きがあるので縦に並べるような感じで収める。


上段寝台へはロッカー前のステップからアクセスするものであるが、開口部は上下段とも同じ位置となっている。


入口側から見た上段寝台。


奥の方が少し幅が広くなっていて、窓のあるこちら側を頭にして寝る様に考えられている。



奥側から入口側を見たところ、入口側は曲線的に幅が狭まっている。



壁沿いにスライド可能な大型の折り畳み式テーブルがある。



奥側から見た寝台全体、下面だけでなく壁面の下の方にもクッションが貼られている。



ロッカを挟んで向かい側となる寝台は左右対称。



窓はおおむねロッカーの背後に位置する。



シャッタは内側もアルミ地のシルバー、その脇にはカードキーフォルダーが用意されている。



ロッカー側の壁面に折り畳み式のハンガー用フックが2ヶ所用意されている。



上段の奥の方は屋根に合わせ上部が斜めとなっている。



奥の幅が広くなった部分の下面はクッションは貼られてなく、硬質の木目調で説明書き等無く試してもいないが、非接触充電と思われる突起、カップずれ止め用のへこみがあった。



窓の遮光はロールブラインド式で2種類用意されている。



窓脇にあるアコーディオン形の小さなシャッタは両側とも鍵を解除すると開けることが出来、コネクティングルームの様になる。
2名単位での予約時にチェックを入れれば、対面できる場所が優先で割り当てられ、それについての追加料金は掛からない。



ブラインド2種類の違い。



小さなシャッタ窓の上に照明等のスイッチパネル、緊急通報用のノブ、緊急脱出用のハンマーがある。



窓際の壁にはUSB電源とACコンセント、照明スイッチと、緊急脱出用ハンマーの使い方のイラストがあるが、小さな窓なので割っても脱出できるのか疑問に思える。



マガジンラックは丸棒を長方形に曲げたフレームと布1枚のシンプルな構造。



天井には各種照明ランプと開閉で調整可能な空調ダクトがある。
日本の古いカプセルホテルだと、自身の体温がこもって暑くなる事があるが、この列車は充分に換気され快適だった。


壁に沿って立っている折畳みテーブルの裏面は鏡になっている。



スライドさせられ鏡としても場所移動可能になるので便利。



テーブルは、ほぼ正方形の大きな物。



テーブルのある壁面は、山なみが点で描かれていた。



テーブルを出した状態を入口側から見たところ。



MiniCabin入口から見た通路の眺め。
通路上に収納スペース等は無いので天井が高い。



下段寝台、こちらは少し腰を屈めて入る形で、カードキーのタッチ部は上の方になる。



床から近いので通路寄りの面からも出入りできる。



上下段とも基本的には同じであるが、下段は窓側の壁が垂直なままで微妙に広く、窓も縦方向が大きくなっている。



コネクティング用の小扉も上段よりも縦方向に大きくなり、スイッチ類の位置が高く、緊急脱出用ハンマーは窓上の壁に配置されている。



上段と同じであるが、布一枚マガジンラックの構造。



通路には細く長い折り畳みテーブルが窓下に用意され、窓の下方には手摺が付いている。



折畳み椅子の高さは低めで、下段のベットと同程度。
下段の人は寝台側に腰掛け、上段の2人が折畳み椅子に座る事を想定し他のかも知れない。



デッキ寄りの方は4人用コンパートメントになるが、どちらもクシェットなので通路に境目は無い。



2段ベット向かい合わせでカーテンなし、昔ながらのクシエットのレイアウトであるが、デザインは一新されている。



上段も2段固定と上段も固定式となったのでシンプルな構造で、窓側とも連続感を出しコの字状の空間となっている。



読書灯は天井に付き壁にあるのはマガジンラックのみ、転落防止用のベルトは何処と結ぶものなのか分からない。


上段にもテーブルが付き、USB電源、ACコンセント、照明スイッチ、非接触充電と思われる突起、カップずれ止め用のへこみが1人1ヶ所づつ用意され、先端は梯子が掛かられる様フックが付いている。


下段寝台、背もたれ的なクッションは高さは低いが全周の壁に渡って延び、窓際のテーブル上部に照明が配置され上段の下面部分もコの字状につながっている。


通路との仕切にはスイッチパネル、カードーキーホルダ、緊急通報装置、各寝台用のハンガーフックがあり、仕切扉の内側に上部は鏡状になっているがその真ん中にドアスコープがあり、格納用の梯子掛けも付いている。
下に荷物を収納できる様にベットは高めで、ベット下の通路際に屑物入れと、緊急脱出用梯子の収納箱があった。


下段寝台は窓側の角部にUSB電源、ACコンセントと照明スイッチがあり、その上に充電機能付きのスマートフォンホルダが付いていた。


スイッチパネルは扉脇の1ヶ所のみで、MiniCabinの物に比べ室温調整が増えている。


4人コンパートメント部の通路、飛びエア脇の丸いプレートに部屋と寝台番号が表示されていて入口にはMiniCabinと同様のカードキー読み取り機が付いている。
従来のクシェットは相部屋であったが、新型車両ではMiniCabinがあるので、コンパートメントは貸切が基本で小人数では高額な追加料金が掛かり、利用は出来ない日もある様だった。


客室とデッキの間には朝食サービスなどの為の業務用室がある。


連結部はガラス面が大きな両開き扉が双方の車両に付いていて、写真は手前側の扉が開いた状態。
低床車以外の乗降扉は内側にステップがある。


貫通部は出来るだけ幅が広くとられている。



通路のMiniCabin側端部は突き当りが斜めになっていて案内表示用のモニタが付いている。



表示モニタには、これからの停車駅と時刻が表示され遅れもわかる様になっている。



表示モニタに対して向かい側の場所に化粧室2カ所と洗面台のみの部屋1ヶ所が並んでいて、化粧室は男性/女性のイラストが表示があり分けられていた。



化粧室は5角形な空間で、トイレの脇に洗面台設備が配置されている。



ドア開閉やロックは電子的ではない通常タイプ。



洗面台のみの部屋も設備は同様。



クシエット3両より後ろの2両、402,401号車は寝台車WLAmz、こちらは通路側となる。



戸窓に入ったイラストで布団が描かれているのが簡易寝台クシェットとの違いで"Sleeping car"。



こちら側がコンパートメント側でデッキの隣にある縦長の窓が業務用室で、その後ろの間が黒に塗られた9つの窓がComfort寝台。



台車上にあたる離れた窓一つの部分がComfort Plus寝台。
どちらもトイレ・シャワー付きの2人個室で、ベッドの方向とシャワー室が独立しているかの違いがある。
寝台利用の追加料金は2人で300~600EURと高額で、そのうち新型が普及してお手頃価格の路線があったら乗ってみたい。



インスブルックを出発して、次に停車したのは日中に訪れたJenbach駅。
ちょうど良くAchensee鉄道の車庫の脇に停まり、MiniCabinの小窓から中の客車と給炭設備が見えた。



マガジンラックには車内誌と安全のしおり、ジッパ式のゴミ袋が入っていた。



検札時にNightjetラベルのボトルウォーターとDlxiというイチゴ味のラムネタブレットをいただいた。



毛布とシーツ、枕もあり、毛布にはロゴとキャッチフレーズが入っていた。



始発20:44で食堂車もないので夕食は先に食べていたが、意外にゆったり寛げる空間だったので、スーパーで買ったパンと生ハム、ワインで晩酌。



寝台で横になった状態の眺め、照明は様々用意されている。



スイッチパネルのカラフルなボタンを押したら照明の色合いが大きく変化して驚いた。



青天井にしてみた。



国境を越えミュンヘン停車中、上段は窓は小さいがホームに立つ人の目線より上になる。



防音壁があったり走行中も上で良かったと思う事があった。



スイッチパネルでは化粧室の利用状況がわかる他、朝食などのサービスの為に乗務員を呼ぶこともできる。
帰って来てから調べてわかったがNightjetホームページ上に簡易寝台のメニューがあり、ギャレーでも暖かい食事やアルコール類などまで購入可能な様であった。



パンとコーヒー程度のものであるが、朝食は簡易寝台料金に含まれている。



朝見ると、次の停車駅で1時間以上の遅れ。
しかし、その先の遅れ見込みは表示されていなかった。



そのまま遅れが延びていくのかと思っていたが、意外にも30分程度の遅れでハンブルク中央駅に到着。



多くの乗客が降りたが、出来るだけ長く乗りたいので私は終点のアルトナ駅まで乗車。
第3軌条集電の近郊電車Sバーン路線と並行して走る。



Hamburg Altona駅には45分遅れの9:59着。
カプセルホテル相当のMiniCabinに13時間以上居た事になるが快適だった。



Hamburg Altona駅は頭端式ホームで、向かい側ホームの先端の方まで行くと、既にDBの101形電気機関車が連結されていた。



牽引してきたÖBB1016形を連結したまま回送されていった。



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