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'09-9  中国四川

芭石鉄路
嘉陽小火車
Bashi Railway/Jiayang Narrow Gauge Steam Train

石渓 Shixi - 黄村 Huangcun 19.84km
軌間762mm


12時過ぎ成都Chengdu空港着、最初はガイドを見つけられなかったが、
別の日本人団体を待っている人に到着口が2つある事を教えてくれ、
もう一つの出口に行くと待っていた。


空港前にあるホテル1階のレストランで昼食をとった後、楽山Leshanを目指し出発。
高速道路の途中には天福名茶のテーマパーク的なサービスエリアがあった。


高速を下り、楽山の街を抜け
楽山大仏園内を歩き16時頃大仏と対面。


楽山大仏から眠江沿いに45分程、
専用車のカーナビ画面で眠江対岸に石渓の文字が現れた。
ここから渡し舟も運航されている。


17:50犍為Qianweiの天波大酒店に到着、
成都のガイドも最近まで知らなかったという街だが、
一通り設備が整ったホテルがある。


ホテルのフロントにあった[牛建]為発バス時刻表
楽山は6:30から18:05の間に10分間隔で70本
石渓行きは6:20から18:00間に30分間隔で47本と書かれていた。
三井(小火車)は4本の時刻があったがペンで消され、これは後で理由がわかった


犍為での夕食で出かける際、遠くは無かったが
ガイドの鄭さんのおごりで三輪自転車に乗せてもらった。


リクエスト通り5時ちょうどにホテルを出発し、石渓へ向かい真っ暗な道を走る。
約20分程走って街に入ったと思ったら、ヘッドライトが照らしたのは電気機関車、
駐車場と間違えて機関区に入っていた。
小火車観光停車場という看板の門まである有人駐車場があり、
今回はガイドだけでなくドライバーも芭石鉄道に乗車し同行してくれた。


長い石段の先に石渓駅があり、まだ始発列車の30分前なのでひっそりとしていた。
駅名板にはローマ字表記もある


ホーム沿いの食堂では、大鍋を使い料理の仕込み


6:43 電気機関車牽引の貨物列車(空車)がホームを通過し出発していった
次の躍進駅までの4.4kmは電化されている。





貨物列車に続き、蒸気機関車がテンダーファストで出てきた。





それから客車を引き出して暗いホームに入線。
北京に合わせた時間なので四川省の日の出は遅い。


食堂の灯が一番の光源、
豆乳を濾しているところだった。


駅に掲示されていた時刻表。
定期列車は1編成で運用できるダイヤの1日4往復。



切手の様に料金分渡される切符
1枚目には座席番号が記入され、一応指定指定となっている。
時刻表の下に表示されている額とは違って、
石渓-黄村井 一人10元(約130円)だった。


スイッチバックの蜜蜂岩駅辺りで明るくなり始め、
3月には菜の花ポイントとなる菜子〔土貝〕駅手前のカーブでブローオフ


車内で観光客の我々以上に浮いていた、
スーツのおじさん。何となく気になる存在だったが後で納得。


扉の右側は車掌専用席、
下に手ブレーキのハンドルがある。


籠を背負って乗り込んだ女性、市場へ行く途中だろうか
乗客にも籠一杯に入った栗を見せ、商売に余念が無い。


乗客の多くは終点の1つ手前、芭溝で下車。


終点、黄村駅では折り返しの石渓行きの乗客が
我先に乗り込もうと殺到。


とても素早く機回しを行い、3分経たないうちに折り返し列車は出て行った。
牽引するのはC2型のNo.9 この日の定期列車はずっとこの機関車の牽引。


黄村井より奥の丘上にトロッコが見えた


丘に上がり駅を見下ろす。
出勤時間か、次々と人が坂道を上がってくる。


動力車は無く、坑外は手押し。


石炭を斜面に降ろす場所は線路ギリギリまで斜面となっている。


黄村駅のホーム側、壁に毛沢東が描かれた建物があり、
我々よりガイドや運転手が夢中に写真を撮っていた。
川を渡って近づくと、この建物は炭鉱博物館だとわかった。


博物館の内、開館は9時からで、
屋外にディスプレーされている人形などにはシートが被されていたが、
建物内を少し見せてくれた。


最大見所はかっての坑内、ウインチ用滑車があるトロッコの線路が見える。
ライト付ヘルメットを付け中を歩ける様で、入場料は50元(約650円)との事。



黄村から芭溝Bajiaogouに向かって歩く


ずっと住宅前の小路という感じで歩き易い。
地元仕様であるが公衆トイレも所々にあった。


路上にて商談成立という感じでかごから出されたのは
3羽の鶏、路上にいたのも野良鶏でなく、放し飼いなのだろう。


ガード下


学校の様な建物を過ぎると市場街
道沿いに駅のホームの様な屋根が続いている。


人が集まっている所を覗き込むと
行きの列車に乗っていたおじさん、香具師だった。





売買だけでなく、いろいろな商売が行われている。


肉屋はその場で解体していた。


観光客向けの芭溝市街案内板。
象徴的な建物には、英文付の説明板が付けられていたが、
全てが絵になる光景だった。


芭溝駅へ行ってみると1両停まっているアオリもない貨車に、
黄色い籠が載せられ、物凄い鳴き声が聞こえる。
かごの中は生きた鶏が詰められていた。


次の下り列車を撮影する場所を探す
石渓方面は駅手前すぐにトンネルだったので黄村井方面へ歩いた。


次の終点の黄村ですぐに折り返してくる上り列車には乗らなければならないので、
撮影するのは徒歩数分圏内に限られる。
絵になりそうな眺めは沢山あるが、勾配は下り気味


歩きやすい道が整っている芭溝でも線路が生活道路として使われている


芭溝駅へ上がる石段の手前にある袁四飯店
蒸機撮影の為に宿泊する人も多い様で、
SLの看板があり英語が壁に書かれていた。


ガイドの提案で、食堂を兼ねているこの店で早めの昼食。


まだ昼食時間帯ではない様で麺しか無かった。
米の麺で口に合って旨い。


ドミトリー的にベットが並ぶ。
ここに泊まっていた日本人によると1泊40元だったとの事、
この時期なら快適そう。


街外れの高台に構え、10:44下り列車が無煙で来た。


芭溝の中心を見下ろせる。


10:56黄村で折り返した上り列車が芭溝に到着


停車するか、しないかのタイミングで連結器のピンが上げられ機関車が離れる。


鶏が詰められたカゴを積んだ貨車を引き出し、そのまま編成に組み込む


窓ガラスは無く、扉や窓のヒサシは鉄板という客車であるが、
窓上に座席番号が書かれ、一応指定席となっている




年配者が多いが小さな子供も結構乗っている。


朝は、我先にという光景を見たが、 混んでくると席を譲り合っていた。


11:19、菜子埧Caizibaで下車、
混合列車となった列車を見送る。


春には菜の花が映える名所のカーブ。
上下列車ともここでブローオフしていた。


撮影場所を探しながら蜜蜂岩Mifengyan方面へ歩く。
駅隣にある建物の二階窓から三脚が見えたので聞いてみると10元で場所を貸しているらしい。
天気の良くない日だったら便利かも。


この日は黄村-芭溝、菜子埧-蜜蜂岩 あわせて5kmは歩いたが、
普段は九塞溝や黄龍を案内して長い距離を歩いているガイド達は全く気にしていない。


ところどころ、ロングレールの様なレールのつなぎ方をしている箇所が見られる。


見通しが良さそうなSカーブ付近で休憩中、汽笛の音が聞こえ、
向かいの斜面にバック運転で蜜蜂岩へ向かう貨物列車が見えた。


13:04 空車の貨物列車が蜜蜂岩駅でスイッチバックしSカーブまで来た。


この辺りは結構な登り勾配が続いているが、
煙を全く出さずに力行していった。
牽引はNo.14

後の貨車に人が一人乗っている。
早朝の石渓で見た貨物列車にもいて乗務員の様であるが、
積車ではどうしているのだろう。
Sカーブで貨物列車を撮影できたので、
ここまで来る途中にあったトンネルの出口まで戻り
3本目の定期列車を撮る事にする。


ここから黄村往復だと1時間半かかる筈なので油断していたが、
トンネルに着いて間もない14:10に反対方向から貨物列車が来た。



蕉埧で積み込み済みの貨車につなぎ換えて戻ってきたのだろう。


自動車が通れる道路がないので、
人だけでなくオートバイが線路端を走る


14:49トンネルの向こうから列車が近づいてくるのが見えた






この折り返しに乗って帰る事になる3本目の定期列車。




再び蜜蜂岩に向かって歩く、
途中に良さそうな場所がいくつもあったが、
残念ながらあとは帰りの列車に乗るだけ
今度は春に来ようと、もう次の事を考えてしまう。


15分少々で蜜蜂岩駅のスイッチバックが見えてきた
向こうの線路では蒸気機関車が落とした灰から燃え残った
石炭を集めている人達がいた。


蜜蜂岩駅、駅の近くに道は無く線路沿いに何軒か家が建っているだけ
木陰にある椅子の人々が集っていた。


街になっている所ではないが、スイッチバックのポイント近くに
宿があり、店主が芭石鉄路の写真集や絵葉書を売りに来ていた
”工業革命的活化石”という題名の写真集を66元の定価で購入。


女の子が跨っているは現役の転轍機


16:20 帰りの列車が蜜蜂岩駅に到着


テンダーにあるヘッドライトは比較的最近変えられた様で角型2灯


標準的な客車は小さな2軸車


中間のボギー車は大きな手荷物や家畜が載せる事ができる


観光客車も大きなボギー車、料金が高いのでとても空いていた


駅に停められていた2軸の無蓋貨車


ここでの機まわしも素早く行われる


前側に機関車が付けられ客車に乗ったが、
この後も客車ごと入換作業が行われた。



車内にはヘルメットをかぶった仕事帰りの人もいた。


学校帰りだろうか、線路脇を歩く子供達


躍進駅の手前、大きめの炭鉱があり、石炭の積み込み設備があった


16:41躍進Yuejin駅到着
中央のボギー客車に詰められていた荷物が下ろされる
バギバギと凄い音が響いた。


一度機関車が離され入換作業が行われたが4分で終了。
しかし、なかなか列車は発車しない。


16:57下り列車が隣のホームに到着、臨時列車との交換待ちだった。
牽引は先程貨物列車を牽いていたNo.14
本日の運用は2両の蒸気機関車でまかなわれていた。


ホームにあるのは先程降ろされた荷物で、
中身はペットボトル資源ごみだった


前の車両の窓から木の棒が出ていると思ったら・・・。


走行中に重そうな材木を手渡し


17:10石渓駅に到着。


大勢の人で賑わうホーム、
列車は折り返し17:30発の黄村井行き最終列車となる。


2匹の大豚がパシパシと尻を叩かれながら歩いていった。
中間のボギー客車で来たのだろう。


観光客車は妻面にも窓が付いていた
逆側に連結されていたら機関車の顔が見えて楽しそう。


観光客車の車内はボックス席、シートピッチが広く座席間に木製のテーブルがあり、
座席から天井まで木材で出来ていて木目が生かされている。
最小限照明灯は窓ガラスと同じく観光客車だけの装備。


駅より先は車両基地、線路端を歩くのが普通の鉄道だが、
ここは謝絶参観という表示があった


門の向こうでは、一度客車の黄村側に機まわしされていたNo.09が入換作業
その奥にはDL風の錆付いた車両が見えた。


この後、車に乗り高速経由で
20:30に成都市内に到着。
都会に戻り、初めてなのに帰ってきたという感じ、
夢を見ていたような一日だった。

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翌日は朝早くから成都大熊猫繁育研究基地へ、
広い敷地を歩かされ少ししか居ないという評判もあったが、
とても沢山いて、充分見ることが出来た。
ガイドブックに書いてあった開館時間の7:00に着いたが
まだ開いてなく、入り口や切符売り場には表示なし。
窓口が開いたのは7:30からだが、時期により変わりそうである。


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