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2002-3 西欧

ARTESIA NIGHT
パリ発−ローマ行き EN213 Palatino

Paris Bercy19:09発−Pisa Centrale6:53着

フランス・パリとイタリアの4都市ローマ、フィレンツェ、ミラノ、ベネチアを結ぶ
豪華な列車が登場したとの情報を得て、今回の旅の最初にこの列車に乗る事に決めた。
人でごった返すパリの玄関口パリ・リヨン駅から約1km郊外に出た所にあるパリ・ベルシー駅


ここがこの列車の始発駅、メトロにもBercy駅があるが結構距離があり、道もわかりづらかった。
駅は広大な駐車スペースと車運車に車を積むためのスロープがあり、発着の列車もこれらのイタリア行きと長距離夜行数本だけなので、待合室、切符売り場、売店等の雰囲気もフェーリーターミナルの様だった。
一応パリ・リヨン駅とのシャトルバスも何本か出ているようだ。


今回の旅に使った、ユーロパスはフランス、ドイツ、イタリア、スイス、スペインの国鉄に
2ヶ月の間の任意の5日間1等車に乗れる2人用のものでUS$612(約8万円)。
1日1人当たり8千円でグリーン車乗り放題だから、お得なパスである。
寝台券はエクセルシオール2人利用で計US$194(約2万5千円)と安くはない。
車掌は列車が出発してから廻ってきて、寝台券とユーロパス、そしてパスポートを預け、パスポートとレールパスは翌朝の下車前に返されたが、寝台券は回収された。


直前までホームが分からないのでホームの頭端部に人がごった返す。
列車は6時30分頃ゲンコツ型のBB7200形電気機関車を先頭に入線、
但しこの機関車はホームまでの入替用で、本当に牽引する機関車はホームの先端側につながれる。


頭端部から号車札を見ながらホームを歩く、列車全体が新型だと思っていたが、新しくない標準的な寝台車が続き少し不安になる。


寝台券にはCOACH90 PLACE NO71,72 と書いてあった。
・・・93、92、91と段々近づいて行き、この車両だけ窓配置が特徴的だったので新型の車両だという事がわかった。


618378-90014-5ALABm、
90号車のドアの前はオレンジ色をしたフランス国鉄の電気機関車であった。


牽引する機関車は元祖TGVと似た新型電気機関車BB26000形。


ドアの前にいた車掌に切符を見せ車内に入る。


ドアから車内に入るとまずミニロビーがある。


デッキからの仕切扉の突き当りにレセプションカウンターがあり奥に電子レンジやコーヒメーカーが見える。
この向こうは車両専属の車掌が常駐する車掌室で隣接している。


天井や壁下の点々とした照明が綺麗な廊下。


部屋は奥から2番目、期待を込めてドアを開けたが
意外と普通の寝台車と同じ見た目。はね上げると洗面台になる大きなテーブルが無い程度。
確かに新しいがちょっと物足りなさを感じた。
ただしシートの向かいにドアがあり、そこに専用のトイレやシャワルームがある。
シャワーは仕切で独立した場所にあり、洗面台も固定式で水廻りの部屋は最高だった。


食堂車へ行っている間に2段ベッドがセットされていた。
レールパスに追加した寝台料金は1人当たり97EURだったが、
パンフレットの料金表では2人利用運賃込みで1人当たり228.7EUR。


隣の部屋は対称なレイアウトだった。


窓側座席側から入口側を見た眺め。
入口手前の柱には寝台時の読書灯やスイッチ類のパネルが縦に並んでいる。


出発時は椅子の状態になっていた。
座席は背もたれも座面も1席ずつ分かれていてる。


中間の背もたれを倒すとテーブルになる。
背後の壁は収納された寝台なので切れ目が見える。


2段寝台にセットした状態。
ベットメーキングされた状態で折り畳まれていた様である。


上段寝台、普通の寝台と同様に3段ベットにもできる構造になっていて、その場合はもう少し低い位置で中段となり、奥の壁の張り出し部が上段になる。


寝台にはドリンクホルダ付きの小テーブルと小物を入れるポケットが壁に付いている。


上段から見下ろしたコンパートメント内、梯子は窓に向けセットする様になっている。


通路上にあたるスペースがメインの荷物置き場で、その脇に3段寝台時上段用の読書灯とスイッチのパネルがある。


部屋の入口上の通路上の空間の他、シャワース室入口上と窓上に荷物用の棚がある。


個室内の照明は天井にちりばめられていて、座席時の読書灯も高い天井に取り付けられている。


中央が通路からの入り口、左のドアは専用のシャワー・トイレ・洗面所の入口。


洗面所入口より窓側は扉付のクローゼットになっている。


使いやすくまとまったトイレと洗面所。


トイレの上には棚があり、タオルやカップ水、アメニティキットが置かれていた。
貴重品用の金庫も用意されている。


洗面所の奥がシャワールームで間に仕切扉が付いている。


検札と合わせウエルカムドリンクのオーダーをとり、その後すぐにプラスチック製の細長いグラスに注いだスパークリングワインを持ってきてくれた。


それから食堂車からディナーの予約をとりに来て、頼むと19時45分からと時間を告げられ白い紙を渡された。コースディナーの時間は1回のみの様だった。


食堂車は白い車体の客車だった。


予約時間の19時45分に食堂車へ行くと、席はほぼ埋まっていてアジア系のアメリカ人夫婦と相席になる。
料理はコースのみで全員同時に進行し、大皿で持ってきてテーブルを廻り個々の皿に盛っていく方式だった。
確かスペインのタルゴ寝台でもこんな方式だった記憶がある。
調理場も人も限られている車内で、多くの乗客に安く美味しい物を提供する良い考えだと思う。食堂車。


パスタはボロネーゼかバジルトマトの選択。


メインも牛肉と鶏肉料理の2種類から選べる。


デザートはフルーツかケーキ、又はチーズ盛り合わせ。
コースの料金は一人25EUR(約3,000円)、ワインは別料金だが、ハーフボトルで5ユーロと割安だった。


食堂車の奥には売店があり軽食等も扱っていた。


エクセルシオールと新T4簡易寝台各1両以外の寝台は従来型の車両で、中段寝台になる壁には風景画が描かれていた。
車内パンフレットによると、2人利用でパリ-ローマ間運賃込み1人あたり164.4EURで、今回利用したエクセルシオールより一人当たり約62EUR安い。


この列車はローマ行きだが、途中のピサで降りるので午前6時過ぎに起こされる。ミニロビーのカウンタで朝食の準備が始まっていた。
終点のローマ到着は9時57分なので、ピサで下車する私達は朝食時間が特別に早かった。


朝食が出される筈だからと、勝手に寝台を片づけて待ってたが、こっちで食べろと車掌に促され、案内された場所は、この列車で1室しかないスイートルーム。
車掌の好意で、この日空席だった豪華個室で朝食とれる事になった。


パンとヨーグルト・コーヒーのコンチネンタル・ブレックファスト。
朝食は寝台料金に含まれる。


Excelsior-Suite Matrimoniale、広い個室で1人掛けと長いソファーが向かい合わせに配置されている。
車内にあったパンフレットによると、2人利用でパリ-ローマ間運賃込み1人あたり300.3EURで、今回泊まった部屋とスイートの料金差は一人当たり約72EUR。
この列車で1室しかないかなり広く感じる部屋なのでスイートの方が料金的なお得感が高いと思う。


壁の切れ目の部分が降りてきて、テーブルに支えられて大きなダブルベットになる。


トイレ・シャワーは他の部屋と一緒様であったが、ドアの上にテレビがある。


テレビがあるのはここだけなのでビデオデッキがソファーのサイドにあり、車掌室とのインターホンも備わっていた。


下車したピサでは新型客車が最後尾となっていた。


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