鉄道世界旅行ホームページ
2011-4 イタリア

FBS
Ferrovia del Basso Sebino
バッソ セビーノ鉄道


FESTA DI PRIMAVEA con il
FRENO STORICO A VAPORE da Bergamo
歴史的蒸気機関車と春祭りの旅


Bergamo - Palazzolo sull'Oglio - Paratico Sarnico

祝日となる5月1日に特別運転される蒸気機関車列車に乗って
イセオ湖畔の街まで昼食を食べに行く日帰りツアー企画をWebで見つけた。
スケジュール等が書かれたページはイタリア語のみの案内で不安があったが、
英語や自動翻訳をしたイタリア語で問い合わせのメールを送ると、
親切に対応していただき申し込む事ができた。

料金は昼食付き大人一人60EUR


9:20 Palazzolo側から客車先頭の推進運転でベルガモ駅の1番線に入線。


ホームの出発案内盤には
”PALAZZOLO TRANITALIA DIR 31679 09:56”と表示されていた。


後ろ向きの蒸気機関車の後ろにディーゼル機関車が連結された編成になっていた。


反対ホームに渡ってみたが、正面気味には四角いテンダーがしか見えない。


強い逆光となるが、出発まで時間もあるので機関車のまわりに人が集る。


2台の機関車の後ろに連結されているのは2軸の木造貨車風の車両 Vs810272。
列車内で販売されていた保存団体"GRUPPO ALe883"車両案内誌によると
蒸気機関車の予備用として5000Lの水タンクが備えられているらしい。


その後ろも木製車体の2軸車で貨車風だが、
客車編成用で貫通幌が付いていて120km/h表示がある。
HCS-UVY2121203-5


3両目は車掌室付き荷物車という感じの2軸車。
DI92015

開いていた扉から見えた車掌室内、
出窓のある所の通路際がカウンターの様になっていて
楕円形をしたフレームの棚が載っている。
壁の上には"dirigenti e telegrafo(電信役員?)"と書かれていた。


乗客を載せる客車は4両、どれもクラシックな多扉車。
1号車は2等の表示があった。


2号車、Bz37071、客車は細部にそれぞれ違いが見られる。


扉は外開き、この2号車だけ戸窓の上に丸い換気口のような物が付いていた。


扉が開いた状態で内側から見たところ。


座席はクロスシート向かい合わせ配置。


片側の車端は妻面に小窓があり、内側には手ブレーキのハンドルがある。


連結部は幌で接続されている、ターンバックルとバッファの連結器なので
連結部の距離が長い。


私たちが案内された3号車、Clz39016。


1,2,1,2と小窓と大窓が規則的に並び、車体中央辺り曇りガラスはトイレ。


台車のすぐ近くにステップが付けられている。


扉は外側へほぼ180度開ける事が出来、扉下の台枠に台形状、
更に下、車軸くらいの高さに板状のステップが渡っている。


イギリスの多扉車とは違い、内側にもノブがある。


客室は開放タイプだが2・3ボックスごとに仕切られている。


荷棚は座席と平行で真上にあり、仕切の無いところは
背もたれと天井を結ぶ2本の柱で支えられている。


トイレの隣など乗降扉の無いボックスもあった。


車端にも乗降扉がある車両もあり、普通のデッキの様にも見えるが
手ブレーキと折畳み椅子があって、車掌室の様な感じもする。


妻面に小窓が付いた最後尾4号車CLz37064。


各席背もたれの上部に座席番号を表すプレートが付いている。


座席の配色が異なり、違った雰囲気を感じる。


トイレの間にある短い通路の両側にも仕切り扉が付いている。



トイレは便座の無い洋式で、床はタイル張り。


駅を発車すると、ツアーの説明があり、
この後使う乗船券と食事券が配られた。


途中、PalazzoloまではFSの定期列車が走る電化路線だが緑が多い良い景色。


保存路線との分岐駅となるPalazzolo sull'Oglio駅を一旦通り過ぎて転線。
昔の貨物駅ホームの様な側線には、モーターカーや古い車両が留置されていた。


味わいのあるツートンカラーの小さな箱型車両。


その奥に留置されたボンネットが傾斜した機関車は
1942年製で米国陸軍が持ち込んだ機関車のエンジンを換装したD.143型。


スイッチバックしてカーブした支線ホームに入ってから、機まわし。


ポイントを切替え、バックで客車に近付く。


多扉客車の前に蒸気機関車を連結、
それからすぐ、発車するぞと声を掛けられた。
他に撮影している人がいて安心していたが、駅に撮りに来ている人も多い様だ。


いい煙を上げてPalazzolo s/O駅を発車。


駅の先には写真を撮る人が固まっていた。
線路に近く、際どい所に登っている人もいるが、
三脚を使うのを見かけないのが日本との違い。


後ろを見るとほとんどの窓からカメラや頭が出ていた。


列車は谷沿いを行き、進行方向左側の眺めが開けている。


定期列車が走っていない路線なので線路際まで植物が育っている所も多い。


機関車にも花つきの枝が引っかかり黒い車体のアクセントになっていた。


25分程で終点のParatico Sarnico駅に到着。


ここから乗客はバラバラでサルニコの船着場まで歩く。
迷わない様に車掌の後に付いていったが、
大きめの橋を渡り岸沿いを歩くだけで心配なかった。


船着場から乗る船は11:30発 Navigazione Lago d'Iseoの定期船、
2層の客室があるCITTA DI BRESCIA号という船だった。


このイゼーオ湖は地図で見るとSの字の形をしていて、
縦(南北方向)で10km程の大きさ。


サルニコから東へ3km少々次に停まったClusaneで下船、
15分程のクルーズだが、この便自体は沿岸のいくつもの街に寄りながら2時間かけて
北にあるLovereという所まで運航される。


船を降り、大人数で路地を歩きPizzaeria"La Svegas"という店に入り昼食。
屋内の2階貸切で、まず大人数でのグループ参加者がテーブルに案内され、
あとはフリーで着席。


各テーブルに用意されていたグリッシーニと
ロゼワイン、炭酸/ガスなしのミネラルウォーター。


一皿目はラビオリ添えのリゾット。


メインの皿はステーキか、ティンカという淡水魚を選べる。


デザートに、りんごのケーキとティラミス。


最後にコーヒー。


食べ終えた人から店を出て、船の出発まで散策時間となる。


ツアー客はClusane15:10発の便に乗船となる。
CITTA DI BERGAMOという船で上のデッキが壁や窓ガラスの無い開放空間となっていた。


途中、船は対岸にあるPredoreという街に立ち寄る。


クルザネから25分で湖と同じ名前のイゼーオという街に到着、
下船した我々団体と同じくらいの多人数が入替わりにイゼーオから船に乗っていた。
この便はサルニコ始発で2時間半かけてPisogneまで運航される。


イゼーオでは2時間以上自由散策、賑わいのある街だった。


ISEOは駅まで行ってみると、ちょうど列車が入ってきた。
気動車1両で車体にはLeNORDと書かれていて、
北ミラノ鉄道から名称が変わった会社による運営で
翌日Bresciaで同じカラーの車両を見掛けた。


3便目はCITTA DE BRESCIA 近郊の大きな街の名前が付けられている様だ。
17:35発のこの便は湖の中程のモンテ イゾーラという島が始発、
ここイゼーオで大勢の乗客が降りて、
入替わるようにSLツアーの団体が乗船。


18:15サルニコの船着場に到着、
道路の看板を見ると橋を境に船が着くのがサルニコ、
駅側がパラティコという地名の様だ。


腕木信号機と旧型客車。
列車は、今回のツアーでベルガモから往復する間合いで、
他にPalazzolo sull'Oglio - Paratico Sarnico間を2往復している。


機関車は切り離され給水中、テンダーのサイドに梯子が付いている。


駅に早めに来て給水作業をみていたら、キャブ内を見せてくれた。
左側にブレーキ、逆転機、加減弁のレバーがあるが、
運転席(椅子)は無く、機関士はずっと立って運転しなければならない。


テンダー前側のあおり板に工具類や油差しが掛けられていた。。


乗客が続々到着し機関車のまわりが賑わう。


ホースが細いので給水に時間が掛かっていた。


サマータイムの午後6:25、良い陽が当たる。


SLは側線を通り先頭につくと思っていたが、
そのまま客車の後ろに連結された。


蒸気機関車625.177は1922年製、
1910年から1923年にかけて188台製造された625型の177号機、
軸配置1Cで動輪径は1510mm 最高速度80km。


補機のディーゼル機関車はD.141.1011、1962年イタリアBREDA社製 
日本でも多く見られるすたいるセミセンターキャブのDLだが、
こちらは電気式、ステップ以外のランボード全長に手摺が設けられている。
運転室内の配置を見るとボンネットが長い方が前方の様であった。
軸配置BB、最高速度80km/h


18:50 DL先頭でParatico Sarnico駅を出発、
沿線にはブドウ畑も見られる。


行きと同じく一旦Palazzolo sull'Oglio駅の先まで進み、
BergamoとBresciaを結ぶ本線側のホームに入線。
10分以上停車しBergamo行きの定期列車を先行させる。
船での散策を案内してくれた係員も電車に乗換えて行った。


20:10 スケジュールどおりにベルガモ駅着。


出発時と同じ1番線に入り、様々なタイプの車両が並んだ。


朝の入線時と逆方向に引き上げて行く思って後ろ側に行っていたら、
そのままSL先頭で前方へ去っていった。
煙も出ていたので、反対側で待っていれば良かった。



写真の無断転載を禁止します。